ニキフォル 知られざる天才画家の肖像

社会主義政権下のポーランド、1960年。南部の田舎町で、役所の美術担当として働くマリアン・ヴォシンスキは、画家としても活動していた。彼のアトリエが事務所の建物の一角にあった。ある日、そのアトリエに小さな旅行カバンを持った小柄な老人、ニキフォルが入ってきた。そこに居座り勝手に絵を描きはじめたのだ。ニキフォルは変人の放浪画家として、町ではすでに有名人だった。言語障害を持ち、文字の読み書きができない彼。ただひたすら絵を描き続け、それを路上で観光客にわずかな金で売って生活していた。町の人々は、彼を芸術家などではなく、年老いた少し頭のおかしな物乞いとして見ていた。マリアンは、仕方なくニキフォルを自宅に連れてきて物置に住まわせ、そこで絵を描かせることにした。マリアンは、絵画の基礎を何も学んだことのない子供の落書きのようなニキフォルの絵に、素朴で純粋な本物の芸術性を見出していた。マリアンは、身分証も持たないニキフォルの出生を調べるため、彼を連れて各地の役所や教会を廻るが、正式な戸籍は見つからない。本名や両親の墓の場所もわからなかった。いつも咳をしているニキフォルが気になり、医師に検査をしてもらうと、肺結核の末期であることがわかった。マリアンは、彼を結核のサナトリウムへと連れて行き、自分が保証人となって強制的に入院させた。退院した1967年、ワルシャワのザヘンタ美術館では、大規模なニキフォルの個展が開催されていた。彼はいつしか国際的に知られる画家となっていた。しかし、彼にとっては、名声も美術業界人たちからの賞賛もまるで興味のないことだった。
公開日
2006年11月3日(金)
監督
クシシュトフ・クラウゼ
脚本
ヨアンナ・コス クシシュトフ・クラウゼ
撮影
クシシュトフ・プタク
音楽
バートロメイ・グリニャク
出演
クリスティーナ・フェルドマン ロマン・ガナルチック ルチアナ・マレク イエジ・グデイコ アルトゥール・ステランコ
製作年
2004
製作国
ポーランド
原題
MOJ NIKIFOR
上映時間
100
INTRODUCTION
ヨーロッパの絵画芸術で、最も注目されているニキフォル。ポーランドを代表する天才画家として、孤高の輝きに満ちている。アール・ブリュットの代表的作家として、日本でも紹介された。生涯(1985-1968)に彼が残した絵画は約4万点。だが、彼が芸術家と本格的に認められはじめたのは、死の数年前のことだった。ニキフォルの晩年を『モンローに憧れて』(87)『ぼくの神さま』(01)のクリスティーナ・フェルドマンが演じている。本作の演技でカルロヴィ・ヴァリ国際映画祭の最優秀女優賞や、キエフ国際俳優フェスティバルのグランプリなど、世界各国の映画祭で数多くの演技賞を受賞。ニキフォルの後見人マリアンには、この映画でシカゴ国際映画祭最優秀男優賞を受賞したロマン・ガナルチック。『戦場のピアニスト』(02)のマリアン・ジーゼルなど、ポーランドの演技派たちが脇を固めている。監督は『借金』(05)でグディニャ・ポーランド劇映画祭グランプリを受賞した、クシシュトフ・クラウゼ。脚本はクラウゼと妻でもあり助監督のヨアンナ・コスが共同執筆。撮影は『天国への300マイル』(89)のクシシュトフ・プタクが担当している。
STORY
社会主義政権下のポーランド、1960年。南部の田舎町で、役所の美術担当として働くマリアン・ヴォシンスキは、画家としても活動していた。彼のアトリエが事務所の建物の一角にあった。ある日、そのアトリエに小さな旅行カバンを持った小柄な老人、ニキフォルが入ってきた。そこに居座り勝手に絵を描きはじめたのだ。ニキフォルは変人の放浪画家として、町ではすでに有名人だった。言語障害を持ち、文字の読み書きができない彼。ただひたすら絵を描き続け、それを路上で観光客にわずかな金で売って生活していた。町の人々は、彼を芸術家などではなく、年老いた少し頭のおかしな物乞いとして見ていた。マリアンは、仕方なくニキフォルを自宅に連れてきて物置に住まわせ、そこで絵を描かせることにした。マリアンは、絵画の基礎を何も学んだことのない子供の落書きのようなニキフォルの絵に、素朴で純粋な本物の芸術性を見出していた。マリアンは、身分証も持たないニキフォルの出生を調べるため、彼を連れて各地の役所や教会を廻るが、正式な戸籍は見つからない。本名や両親の墓の場所もわからなかった。いつも咳をしているニキフォルが気になり、医師に検査をしてもらうと、肺結核の末期であることがわかった。マリアンは、彼を結核のサナトリウムへと連れて行き、自分が保証人となって強制的に入院させた。退院した1967年、ワルシャワのザヘンタ美術館では、大規模なニキフォルの個展が開催されていた。彼はいつしか国際的に知られる画家となっていた。しかし、彼にとっては、名声も美術業界人たちからの賞賛もまるで興味のないことだった。
CASTING
●クリスティーナ・フェルドマン(ニキフォル) ●ロマン・ガナルチック(マリアン) ●ルチアナ・マレク(ハンカ) ●イエジ・グデンコ(ノワク) ●アルトゥール・ステランコ(ローゼン) ●ヨヴィータ・ミオンドィコワウスカ(コワルスカ) ●マリアン・ジエドジエル(ブドニク) ●エヴァ・ウェンセル(ザヘンタ美術館長) ●カタリーナ・パチンスカ(アラ・ヴォシンスキ) ●カロリーナ・パチンスカ(エヴァ・ヴォシンスキ) ●マグダ・セロワナ(家政婦) ●クシシュトフ・ゴードン (アンジェイ)
配給会社
エデン

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